JIBUNマガジン 文京区

2019年06月号 vol.47

まちと出会い、ひとと出会う/「芸工展2019」活動は「まち歩き」からスタート

2019年06月07日 15:07 by inaba_yoko
2019年06月07日 15:07 by inaba_yoko

 「まちと出会い、ひとと出会うことが、そもそも、芸工展の原点だなぁ」

 「企画として定期的にまちを巡る方法、どうしてもっと早く思いつかなかったのだろう」

 毎年秋に谷根千で開催される「芸工展」で長年実行委員をつとめている渡真利紘一さんは言う。

渡真利紘一さん(左)と村山節子さん

 一昨年、「芸工展2017」を取材させていただいた時、「これからは、たとえば七夕のように、10月が来たらまちの人が自発的に手ぬぐいを飾り、展覧会を始める」ことをめざし、お膳立ては減らしていく、と実行委員の渡真利さんと、村山節子さんは語っていた。これは「まち・ひと」への信頼がなくてはできることではない。実行委員がいて、参加者がいて、という形で開かれてきた「芸工展」は、よい意味で両者の境目がなくなってきていた。2018年はお膳立てを減らして実施、そして2019年の開催に向かう時期となった。

 「実行委員会と参加者の仕切りを取っ払って、芸工展をご一緒に盛り上げていくために参集できるプラットフォームを、今年は作ろうと思った」と村山さんはいう。「お互いに芸工展への思いを確認できたら」と。それで企画したのが、第1回「芸工展さんぽ」だ。私も参加してまち歩きしてみた。

 根津方面から谷中のへび道(藍染川を埋めたてた道)を通って団子坂、動坂へ。長い間住んでいても通ったことのない道や路地や、初めて目にするギャラリーやアトリエなどはまさに、すごく身近な世界での未知との遭遇だった。

 区内の他の活動でご一緒だった方に、ギャラリーでばったり会い、その方の別の活動を知って、もっと話してみたくなったりするような出会いもあった。こんな「まち歩き」にみんなで参加したら、「芸工展2019」はどれだけおもしろくなるのだろうか。

 一緒に参加した真弓智早さんは「穏やかなまちの空気に癒されました。忙しい日常では見過ごしがちな景色を見つけたり、子どもたちの遊ぶ声が聞こえたり、昔はあったけど今は失った日常がこのまちにあって、心が穏やかになるのを感じました」と語った。実は、真弓さんは、これまでは岩槻から谷根千に来て、芸工展をスタッフとして手伝ってきた。「いつか、谷根千のまちに引っ越してきたい」と思っているそうだ。

 渡真利さんは、「まちを歩けばひとと出会い、会話が始まる。思いがけない発見も。第1回目を開催してみて、思った以上の収穫だった」と言う。村山さんも、「まちを歩くことによって、これまでの芸工展でみなが育んできた、ひととの関係など無形の遺産が確認できた」という。もう「芸工展2019」は始まっているのかもしれない。

 会期の10月に向けてかけがえのない時間を作ろうと、これからも、月2回の「前のめり企画」を予定しているという。まち歩きも第二弾、第三弾と続き、ギャラリートークなど、他にも多彩にやっていきたいとのことだ。

 この先の予定や第1回「まち歩き」の写真は「芸工展2019 まちじゅうが展覧会場」のFacebookページで。23日(日)、30日(日)、ギャラリーTEN(台東区谷中2-4-2)にて10時からトークの後、11時半から「まち歩き」。いずれかの参加も可。申し込みはメールにて、芸工展事務局(geikoten@gmail.com)へ。(稲葉洋子)

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