JIBUNマガジン

2020年10月号 vol.63

元お米屋さんが地域の居場所に/昭和の色濃い「こびなたぼっこ」

2020年10月17日 22:41 by Takako-Oikawa

「三河屋酒店」の隣に、「茗荷谷米穀販売所」という看板が掲げられた建物。まるでサザエさんの世界に紛れ込んだような昭和的たたずまいだ。ガラスの引き戸を開けると、焦げ茶色の古い木材を使った欄間や天井が昭和を想起させる空間が広がる。2020年8月に改装を終えた地域の多世代交流の場「こびなたぼっこ」だ。

 建物は築70年。米穀店が3~4年前に閉店して以来、空き家だった。隣の三河屋さんはコンビニエンスストアで、すぐ近くの小日向台町小の子どもたちが菓子を買いに来たりする駄菓子屋的な存在だ。近隣に住宅やマンションが建ち、子育て世代も増えてきた。オーナーの「地域の居場所として活用してほしい」という申し出を受け、文京区社会福祉協議会がコーディネートし2019年からプロジェクトが動き出し、12月には地域の人と第1回準備会が開かれた。町会メンバーや民生委員も交え、地域住民でどんな人が集まるどんな場で、どんなことをしたいかを話し合ってきた。

 2020年2月の準備会では、理想の居場所を実現するための改修プランを検討。「新しい人と出会える」「不安を抱えた人の心が明るくなる」「多世代と交流」「趣味が増える」「人見知りの人がまた来たい、話したいと思う」などの「欲しい機能」や、プロジェクターやネット環境、パソコン、冷蔵庫、授乳スペースといった「欲しいもの」がたくさんあげられた。それをもとに設計が進められた。そして、プログラムの検討をしようとした矢先にコロナ禍に見舞われた。

 ハード面の整備を進めることにし、店舗部分は土間のまま、奥は畳の座敷とし、小さなキッチンも設けた。旧式の精米機の一部、コメをエレベーターのように運び上げた柱のような木枠も残し、米穀店だった証も残された。

 地域の人や町会から机や昔懐かしい型の扇風機などの物品を寄付してもらい、8月にお披露目。名称を募集したところ、小日向のもともとの読み方「こびなた」と、日向ぼっこをかけて「こびなたぼっこ」に決まった。

 運営は実行委員会方式で、現在は民生委員や地域のボランティアが月、木の週2回、自由に過ごせるフリータイムを設けている。「奥の座敷で赤ちゃん連れがゆっくりしていくこともある」という。「縁側みたいにしたい」「昔遊びを教えたい」「夜ご飯を一緒に」「お茶会を」など様々な「やりたい」アイデアが寄せられている。

 住所は小日向1-18-22。寄付やボランティアを募集中だ。会場の利用についての問い合わせは文京区社会福祉協議会地域福祉推進係(03-5800-2942)へ。(敬)

関連記事

リンゴがぎっしり。谷根千スイーツ新名物、食べ歩きができるアップルパイ「APPLE POCKETS」

2020年10月号 vol.63

空き店舗改修で地域に居場所/町会や企業と共に「氷川下つゆくさ荘」

2020年10月号 vol.63

都心の庭園に雲海が!?/ホテル椿山荘東京で「東京雲海」企画開始

2020年10月号 vol.63

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2020年09月号 vol.62

朝夕が涼しくなり、ようやく秋めいてきました。世間では相変わらずのコロナ禍。...

2020年08月号 vol.61

気がつけばJIBUNマガジンは5周年を迎えました。昨年8月号のカバー写真は...

2020年07月号 vol.60

緊急事態宣言が解除され1カ月以上がたち、連日100人、200人の感染者が出...