JIBUNマガジン

2020年10月号 vol.63

都心の庭園に雲海が!?/ホテル椿山荘東京で「東京雲海」企画開始

2020年10月15日 00:22 by Takako-Oikawa

 まるで雲の上にいるみたい。文京区関口のホテル椿山荘東京の緑豊かで起伏のある庭園が霧に包まれる。夜は千の光があちこちに輝き、三重塔や木々が浮かび上がる幻想的な風景に。「東京雲海」と名付けられた庭園演出が、10月から始まった。マーケティング支配人の眞田あゆみさんは「緑のオアシスを感じてほしい」と話す。

(ホテル椿山荘東京のサイトより。昼と夜は印象がだいぶ違う)

 椿山荘(ちんざんそう)はもともと明治の軍人で政治家だった山縣有朋の邸宅と庭園だった。「そのもっと前の室町時代には椿山と言われて椿が自生するところだったらしいです。近くの目白坂も椿坂と呼ばれていたようです」。山縣は故郷の萩市に椿の自生地があることからこの地を気に入ったらしく、邸宅を建て「椿山荘」と名付けた。庭園は萩の地形を再現したと推測されているという。「二手に分かれた阿武川の扇状地にある故郷に似せて、2つの水流を池と沢で表現したと言われています」と眞田さん。

 山縣が自然を愛し、地形を生かして庭園を整備した意思を受け継ぎ、大正時代にこの地を譲り受けた藤田平太郎男爵は、室町期に建てられた三重塔を広島の寺から移築するなど、文化財を配置した。

 昭和23年より藤田観光(の前進)が所有直後に、戦災で一帯は焼けたが、「御神木」とも言われる樹齢500年といわれるスダジイの大木と三重塔は焼けなかったという。

 創業者は「戦後の荒廃した東京に緑のオアシスを」と唱え、1万本を植樹して復興した。それから約70年。5万平方メートルの敷地には椿が千本、大木も多数あり、歴史ある庭園の中にホテルのほかチャペルや料亭も備えた都会のオアシスとなった。

 「東京雲海の企画は、山縣公や創業者の自然への思いや革新性を表現しました」。萩には朝霧がしばしば見られるようだ。そんな景観を再現すべく、2020年早々から企画を温めてきたという。雲と同じ大きさの水の粒が出せる機器を導入した。「現代のハイテク技術と組み合わせた自然をお楽しみください」

 眞田さんは文京区生まれ。父の仕事の関係で欧州で育ったが、子どものころからホテルが好きだったという。帰国して就職後はホテル椿山荘東京での勤務一筋。文京区民でもある。「椿を数千本植える予定もあるんです。椿は桜や紅葉に勝てないですが、オレイン酸の多い椿油や、椿ハチミツなども採られている地域もおありだし、全国には大島椿、利島の椿、萩の椿といった各地の名所や産地があって椿を愛する団体もあります。様々なアプローチで椿の世界観をつくりたい」と熱く語る。また、「銀座はショッピングの街、渋谷はハイブリッドな街とカラーがあるが文京区は何か? 何で売り出せるか? そんなことも考えています」。椿山荘の生き字引であるだけでなく、文京区愛にもあふれている。

(ホテル椿山荘東京のサイトより)

 東京雲海は早朝やランチ前後、夕方から夜間、一日十数回見られる。夜は千の光で庭園をライトアップ。幻想的な光景が見られる。庭園への入場はホテル利用者のみとなっている。雲海を見下ろしながらのガーデンテラスでのディナーや、雲海をイメージしたスイーツも登場。東京都民もGoToトラベルキャンペーンの対象になり、宿泊割引も適用されるため、宿泊プランもある。遠出しないで、足元のオアシスを楽しむのも一案だ。詳細はホテルのサイトで。(敬)

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