JIBUNマガジン

2021年03月号 vol.68

まちの可能性をまちの人と掘り起こしてまちに紹介/「まちの教室KLASS」

2021年03月18日 01:27 by inaba_yoko

「食べて綺麗になるRaw food教室」「エキナカ社交ダンス」「昆虫標本教室」「アニョハセヨキッチン」「マイクロドローンを飛ばそう!」「西日暮里エキナカ寄席」……。「まちの教室KLASS」は、まちのあらゆる場所に展開していくことをめざしている。「暮らしと学びを近づける」というコンセプトから生まれた場だ。

東京メトロ千駄木駅徒歩0分のビルの2階にある「千駄木HAGI STUDIO」と、JR西日暮里駅改札外コンコース横の「西日暮里駅エキラボniri」の2カ所を中心に教室を開いている。一方的に知識を提供するのではなく、いろんな人の好奇心を持ち寄る場にしたいと、名前も「CLASS」と「KURASHI」を結び付けて「KLASS」だ。

運営に携わっている、柳(りゅう)スルキさんにお話を伺った。KLASS誕生の前には長いストーリーがある。まずはHAGISO。古い一軒家を改装したカフェ、ギャラリー、宿泊施設のレセプションなど様々な機能を持つ「最小文化複合施設」だ。

パンフレット「HAGIPAPER」vol.090によれば、1955年から木造アパート萩荘として、2004年から東京藝術大学の学生たちによって、アトリエ兼シェアハウスとして使われてきた建物が2011年の東日本大震災をきっかけに解体することになった。「実は萩荘解体の前にも、ある日近所の愛されていた銭湯が突然なくなっていた、というようなことがあり、元々の東京の風景が次々と無くなっていくことに対して、私たちはどうすることもできない無力感を感じていました」。2012年2月、入居者一同の最後のお願いとして建物全体に作品を展示するグループ展「ハギエンナーレ2012」を開催したところ、3週間の展示期間に1500人が訪れた。「老朽化が進み、建て直すには費用がかかるので、壊して駐車場にしようという話もあったそうです。でも『ハギエンナーレ』の来場者数にみんな驚き、場所にポテンシャルが残っているのではないか、このまま可能性をつぶしてしまうのはどうなのかと再検討し、最小文化複合施設として今のHAGISOに生まれ変わることになりました」と柳さんは言う。(再生の経緯は2014年JIBUNの記事にも)

HAGISOは3月9日で9年目に入った。小さくても濃密な引力を持っており、事業が広がっていった。空き物件を活用した宿泊施設「hanare」。お弁当・お惣菜の店「TAYORI」。バーガーレストランの「レインボーキッチン」を引き継ぐことになったり、西日暮里駅空きビルを再生して「スクランブル」の名称で運営したり、棚を80人でシェアする本屋さん「西日暮里BOOK APARTMENT」を始めたり。

 KLASSは、HAGISOを運営する株式会社HAGI STUDIOの事務所が千駄木に移転するのをきっかけに生まれた。4月でまる3年になる。柳さんは建築科出身だが「HAGI STUDIOにはいろんな部門の人たちがいて、それぞれいろいろな見解をもっているので、そういう中で働きたかった」という。KLASSの構想も聞いていて、立ち上げからかかわり、スタートと同時に半分KLASSの業務、半分設計の業務という形で仕事を始めたという。KLASSの業務で、まちの人に出会えるのが楽しみ。3年間でいろいろな教室を開催してきた。

大事にしていることは「イベントを開催する人は誰で、どういう人なのかを紹介するような見せ方」と柳さんは言う。「『まちの教室』というタイトルのように、まちならではのことをやっていきたい」。地元の人に向けたコンテンツを丁寧に作っていこうと思っている。

最近の仕事としては、3月1日~14日、根津の「ねづくりや」が取り壊された更地で、「ねづくりや」の2人のメンバーが主催した「アキチノキチ」というマーケットに、街頭紙芝居師三橋とらさんをコーディネートした。「とらさんと会ったのが西日暮里BOOK APARTMENTの店番をしていたとき。KLASSはコロナ禍でできないし、オンラインにシフトチェンジしなければと焦っていたところに、本屋さんに立ち寄ってくれたとらさんと大いに気が合ってマシンガントークになった」。とらさんもコロナの影響で紙芝居を演じる場が少なくなっていた。さっそくHAGISOで紙芝居をやったら大盛況。「紙芝居は現場にお客様がいて臨場感が不可欠だ」と思っていたところ、「アキチノキチ」へ参加の呼びかけがあった。5月には「西日暮里エキラボniri」でのワークショップ付き紙芝居公演も決まった。

4月に西日暮里駅開業50周年イベントとして、「エキナカ寄席」「写真撮影」「ワークショップ」を駅と一緒に取り組むことになっている。JRの駅のイベントチーム「東京感動線」との共催で20日、「西日暮里で走らせる!ミニ四駆工作レース大会」も開催予定だ。

「何かやりたい人は気軽に声をかけてほしい、一緒に作っていきたい」と柳さん。「まちのおもしろい人を探す作業を、まちの人たちと一緒にやりたい。ぜひお声がけを」と話している。(稲葉洋子)

KLASS千駄木HAGI  STUDIO 東京メトロ千駄木駅徒歩0分 第一浅井ビル2F

KLASS西日暮里駅エキラボniri JR西日暮里駅改札外コンコース横 BECK‘S COFFEEとなり

☎03-5834-7018(HAGI STUDIO

 

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