JIBUNマガジン

2019年08月号 vol.49

本が読めるカフェにとどまらぬ広がりを求めて。小石川モノガタリ。

2019年08月03日 00:39 by Takako-Oikawa

 本が買えて読めて,コーヒーが飲めて雑貨も買える。それが「小石川モノガタリ」。小石川3丁目の通称オリーブ通りに2019年5月にオープンした。「本の価値を最大化する方法としての店。本を読む、にとどまらず、本を通したコミュニティーができるぐらいの広がりができれば」と、広報担当の永松武志さんは言う。

 小石川モノガタリは、神楽坂駅前にある「本のにほひのしない本屋 神楽坂モノガタリ」の姉妹店だ。経営は、製本業を核に多角的な事業展開を図っているフォーネット社(文京区音羽)。もともとは小石川に拠点があったが、いま工場は埼玉県戸田市に移転。小石川にはまだ残された土地や建物があり、テナントに出している。その一つが小石川界隈で人気のイタリアン「青いナポリ」であり、神楽坂モノガタリの書店部門を任されているフリーランス書店員、久禮(くれ)亮太さんが開いたPebbles Books(ペブルズ・ブックス=記事はこちら)である。「本を買ったらすぐ読みたいという人が少なからずいる。ペブルズ・ブックスで本を買って小石川モノガタリで読む、という流れができるといい」

 小石川モノガタリは倉庫を改装したので、天井が高く広々した印象だ。店内の片隅にはアップライトピアノがあり、音楽とのコラボイベントも可能。バッグやアクセサリーなどの雑貨も置いてある。本のコーナーはぺブルズ・ブックスの久禮さんのセレクト。テーマを決めており、現在は女性が手に取りそうな本がずらりと並んでいる。永松さんは、「この辺りは子育て世代が多いので、子ども向けの本やイベントもやっていきたい」と話す。近く、小石川5丁目にある子どもの本屋「てんしん書房」とぺブルズ・ブックスのコラボで、親子で一緒に楽しめる書棚をつくる予定だという。

 永松さんはフォーネット社のグループ会社である児童書の出版社「えほんの杜」の代表でもある。出版も印刷も製本も、紙にまつわる事業は文京区の地場産業だが、出版物が売れなくなってきた影響で、産業全体が縮んでいる。そこをなんとか打開し、紙の文化を地域や次世代に伝えたい、残したい、という思いが、小石川モノガタリ出店の根底にある。「会社として、小石川はかつて拠点としていた大事な場所なのです」と永松さん。

 神楽坂モノガタリでは著者を招いたイベントや、ピアノ演奏と本のコラボイベント、読み聞かせ会などをやっていて、小石川モノガタリでも同様のイベントを展開したいという。その一つに子ども絵本パークレットというイベントがある。最初は小さなイベントで、生のギター演奏を入れて、子どもと踊るなどすることから始めたが、徐々に大きなイベントに育った。小石川モノガタリでも周辺の店などと一緒に、秋に子ども絵本パークレットを開催予定だ。

 カフェの売りはハンドドリップコーヒーだ。産地が特定され、欠点豆を取り除いたスペシャリティーコーヒーなので、雑味がなくすっきりした味わい。そしてメニューはなんとも、個性的。「角煮バーガーとおこわセット」「のりたまサンドセット」。なかなかひねりのきいた組み合わせだ。だが、角煮もすべて手作りだという。「戸田工場の社食で作ったものを神楽坂と小石川に運んでいる。もちろん許可も取っている。工場の社食が本当においしくて人気で、そこで作ったものだから味は太鼓判を押します」

 小石川モノガタリには店長がおらず、メニューは神楽坂モノガタリの店長が考えているという。Wi-Fiも完備しており、本を片手に長居してしまいそうな空間だ。イベントなどにスペース貸しもするという。でも例えば地域の人の少人数の趣味の会などなら、飲食代のみでもよいとか。「何かやりたい方がいれば相談に応じます」とのこと。「まずはたくさんの人に知ってもらい、活用してもらえたら」と永松さん。「空間と時間を提供したい。本との接点を持ってもらえたらうれしい」(敬)

小石川モノガタリ(文京区小石川3-26-10)

電話:03-3811-0517

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