JIBUNマガジン 文京区

2016年06月号 vol.11

【まち】古民家を異文化と個性が混じり合う交差点に/大塚5丁目のCO-MINKA国彩館

2016年05月31日 17:21 by Takako-Oikawa
2016年05月31日 17:21 by Takako-Oikawa
 
 戦前に建てられた古民家を、異文化と個性が混じり合う交差点に。文京区大塚5丁目、皇族が眠る豊島岡墓地の裏手にひっそりとたたずむ「CO-MINKA国彩館(こみんか こくさいかん)」は、国や世代を超えた個性が彩り豊かな場をつくることをめざすレンタルスペースだ。2015年秋から本格的に活用を始めた中目智子(なかのめさとこ)さんは「学びあいの場、表現の場、交流の場として、多くの人に活用してほしい」と話す。
 
中目智子さん
 
 CO-MINKA国彩館は昭和初期に建てられたと思われる築80年ぐらいの民家で、8畳、3畳、3畳の続きの和室と8畳大の洋室をレンタルスペースとしている。小さな庭に面して縁側も床の間もある和室に趣があるのはもちろんだが、自然素材で編まれた網代の天井など、建物の細部に意匠のこだわりが見られる。

8畳、3畳、3畳の和室
  
 洋室は高さのある観音開きの窓やレトロな文様の入った窓ガラスが印象的だ。古いレコードプレーヤーやタンスなど建物所有者の家具もあるが、洋室の調度類は中目さんのパートナーが収集していた英国アンティーク系のもので、雰囲気にマッチしている。「ここで紅茶教室も開いています。レコードプレーヤーは針が古くて使えないのですが、友人が機材を持ち込んでアナログレコードコンサートも開いています」
 
2種類の文様が入った高窓が印象的
 
 中目さんは長年、英語や日本語の教師として、日本人や外国人向けにレッスンやセミナーを開いてきた。その元となったのは、まだ学生の頃、語学を学ぶだけで日本のことを話せなければ意味がないと気づかされる体験をしたことだった。いつか日本の生活文化が詰まった古民家で語学の教室を開き、その延長上としての交流の場を設けたいと思い描いていた。17年ほど前に日本古民家再生協会の戸をたたき、友の会会員として情報を集めてきたが、公共交通機関でアクセスができる手ごろな物件になかなか出合えなかった。それでもあきらめずにあちこちで思いを口にするうち、数年前に同協会の関係者から話が舞い込んだという。4年ほど前から自身の教室の場として使うなど準備を進め、昨年ようやく本格的に貸しスペースとしての公開にこぎつけたという。

 家具類は英国アンティーク中心で洋室にマッチ 
 
 語学の教師として、また、ときには旅人として、これまで「あらゆる背景を持つ人と出会った」という中目さんは、「かつて外国人に日本語を教えていたとき、欧米に南米、アジアとかアフリカとか、いろんな国の人がいる個性のごちゃまぜが居心地よかった。自分も『個』でいられるから」。CO-MINKA国彩館も、利用者にとってそんな出会いのある場にしたいと願っている。
 
 
格子戸の玄関も細部に凝ったつくり 
 
 和室、洋室とも平日1時間1400円から。住宅街にあるため、宴会などには使えず、音楽もあまり響かない楽器が目安。中目さんも奏者である西アフリカのパーカッション(打楽器)は「さすがに無理」だそうだが、アフリカの弦楽器「コラ」のライブはこれまで2回開催した。「音楽やアートの友人と、私がからめるイベントも開いていきたい」と中目さん。予約はメールで受け付ける。料金などの詳細はサイトで。

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