JIBUNマガジン 文京区

2016年06月号 vol.11

特選!茗荷谷界隈⑪漢方や料理とも縁があるお寺さんのプロショップ/香雲堂

2016年06月01日 01:20 by Takako-Oikawa
2016年06月01日 01:20 by Takako-Oikawa
 
 大塚三丁目交差点から護国寺方面へ富士見坂を下ると、音羽通りと春日通りの中間あたりに「御香司 香雲堂(こううんどう)」があります。


 創業は嘉永元年(1848年)と言いますから、今から168年前のこと。創業の地は今の本郷あたり。安政大地震(1855年)で牛込東五軒町へ、関東大震災(1923年)で江戸川橋近くの櫻木町へ移り、そこも戦災により焼失。縁があって昭和23年(1948年)にこの場所に移ってきました。江戸から東京の大災厄を何度もくぐり抜けてきた老舗です。


 ご当主は5代目。6代目のことをうががうと、「もういつまで続けられるかわかりません。原料が枯渇してしまっているのです」。お香には合成のものも出回っていますが、香雲堂さんが扱うのはすべて「天然の材料」を使ったもの。


 よく東南アジアの寺院にいくと天井からとぐろを巻いた長い巨大な線香がたくさん吊るされ、本堂の内部が煙に覆われるほど盛大に燃やしているのを見ることがありますが、「あれは、皆合成のお香」だそうです。
 白檀であればインドはマイソールの「老山白檀」、沈香であればベトナムやタイなどですが、現地では「ほぼ取り尽くし」て、今や「風前の灯火」状態とのお話でした。

 
 

 白檀の購入価格も「この10年の間に8倍になりました」。「中には投機目的でよくわからないまま日本で販売しているものなら『確かな品であろう』と香木を買い求めに来店する外国の方もいらっしゃいます」。
 現地から商社を通して輸入。製粉された香木は、香雲堂の2階で調合をおこない、大阪の堺にある工場へ送り、そちらで製品にされるそうです。


 お香の原料は、漢方や料理ともたいへん関係が深いことを教えていただきました。桂皮(シナモン)、丁子(クローブ)、八角茴香、鬱金(ターメリック)、皆お線香の原料だそうです。


 「香舗 香雲堂」という店の看板はお得意様でもあった「4代前の金龍山 浅草寺のご住職に揮毫していただいたものです」。また額に掲げられた「曼荼風光」は廃仏毀釈から仏教再興に尽力された雲照和上が可愛がった三代目のためにと揮毫されたそうです。
 


 香雲堂はお寺さんや仏具屋さんなどのための「プロショップ」。一般向けには香雲堂オンラインショップが用意されています。


 5代目当主の西田さんは、若いころからのオートバイマニア。「もう乗り始めてから60年は経っています」。ホンダ・ベンリイ号、ドリーム号に始まり、陸王(ハーレーダビッドソンの日本版)の再生マシンなどを経て現在の愛車はエンジンモデルが生産中止になると聞いて購入したBMW。22年目になります。
 

112-0012
文京区大塚2丁目8−8
☎︎ 03-3941-2405
午前10時〜午後6時 / 定休日 日・祝
Webサイト www.koundo.com

※この記事は「ご近所 茗荷谷界隈」に2016年3月29日に掲載されたものです

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