JIBUNマガジン

2019年10月号 vol.51

あなたが主役!身近な地域でワクワクドキドキ学びあい/「東京山の上市民大学」始動

2019年11月02日 16:29 by Takako-Oikawa

 羽の模様も精巧なチョウチョ型のトレーシングペーパーを手のひらに乗せてみる。すると・・・羽が動いて丸まった。まるでチョウが飛び立とうとしているように!

 「紙と対話しているみたいでしょ」。新宿区早稲田鶴巻町にあるペーパリー株式会社代表取締役の吉澤光彦さんはうれしそうに言う。この日は「東京山の上市民大学」の「紙の深さを味わう」授業で、吉澤さんは「先生」だ。「トレーシングペーパーは温度に敏感なので、手の熱で紙が曲がるんですよ」。子どもも大人も、目を輝かしながら先生の話に聴き入った。

 同社はkamiterior(カミテリア)のブランド名で、文具感覚で使えるインテリアのような紙製品を販売している。早大通りを見下ろすショールームにはこれが紙かと思われる製品がずらり。

 「先生」はいろんな紙を出してきて説明する。たとえば、1行ずつタスクを書けるメモ用紙「シュリット」。タスクが終わればペンでその行をビリリと破れる。「障子を破る爽快感って今あまり味わえないでしょ。とぼけた商品です」

 サラサラ、ザラザラ、デコボコ。いろんな紙が出てきて、手触りを確かめたり、書き味を確かめたり。海外の高級紙、紙幣に使われたバンクペーパー、レターヘッド・・・奥の深い「紙沼」にズブズブはまりこみそうだ。「紙沼にはまると、『きき紙』をしたくなりますよ」と先生が言う。

 文京区のすぐお隣にこんな面白い会社があるなんて。紙って奥深い。そんな「地域性」、やりたい人が手を挙げる「自主性」、いつもと違うドキドキを味わえる「非日常」。それが東京山の上大学のコンセプトだ。渋谷区の「シブヤ大学」を視察した文京区在住、在勤の3人が発起人となって8月に始動した。「山の上」とは、山手線の上半分のイメージ。

 毎月原則第2火曜日の夜が「編集会議」。そこで「授業」を練り、つくっていく。「授業をつくる」をサポートするのが授業コーディネーター。手を挙げた人の提案をそのまま実施するというより、みんなであれこれ議論してよりよい企画にしようという志向だ。すでに、ウェルビーイング、クラフトビールでまちづくりといった授業を実施し、20日にはスパイス講座などが予定され、11月16日(土)10時から小石川の「さきちゃんち」でマンション管理講座、14時から江戸川橋の美容室でキッズカット教室も企画されている。授業は第3土曜日が基本だが、場所や回数も自主性にゆだねられる。

 授業のほか、興味のあるテーマを仲間と共に研究、発表するゼミも発足する予定だ。これまでの編集会議では、国立天文台勤務の方による星空観察、小売業の若手会社員らによる食に関するゼミ、大学生らによるライターゼミ、解剖学を身近にしようという一風変わったゼミなど、さまざまな提案があった。

 参加の方法もさまざま。学生になる、研究員(ゼミ生)になる、街の先生になる、サポーターになる。「街の教室」としての場所の提供をし、発起人の1人でもある我楽田工房の横山貴敏さんは「特定の場所を持たず、まちのいろんな場が『街の教室』になればと思っている。市民が主役の学びあいとはじまりの場をめざしたい」と話している。詳細はサイトで。(敬)

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