JIBUNマガジン

2019年10月号 vol.51

始まったよ! 芸工展2019/事前作業も大事な「居場所」

2019年10月16日 09:13 by inaba_yoko

 「芸工展2019」。スタート半月前の9月15日(日)、マップが受け取れるというので、谷中2丁目「あかじ坂」にある「ギャラリーTEN」を訪れた。中に入ると10人ほどのスタッフやボランティアが折り込み作業に忙殺されていた。

 人と紙でギャラリーは溢れていて、受け取りに来る人に渡すはずのマップの折り込み作業は、果たしてその日のうちに終わるのか、という状況。「作業する人の数は足りてない!」と計り、狭い場所に無理矢理潜り込んで加わった。A2版を四つ折りし、さらにA3版を二つ折りして中に挟み込み、A4版のマップが完成する。なにしろ61ものスポットやイベント、展示の内容を紹介しているので、情報満載のマップだ。

 男女や老若に関係ないボランティアたちが必死で作業する。メインスタッフはひっきりなしの窓口対応。交流会が始まる直前まで続いていた。出て行かないでよかった。芸工展に関わるたくさんの人たちと情報交換やいろいろな話ができて、労働量に正比例した楽しみがあった。作業という居場所、要チェック。

 さて、交流会は18時30分スタート。30人ほどが集まった。会場となる「まちの教室KLASS」(後日取材予定)も芸工展出展者だ。昼間、軽いジョークを口にしながら、重い印刷物と格闘していた渡辺好博さんは、服装が昼と打って変わり、正装で受付に現れる。最近、谷中だけではなく、日本中あちこちに、ちょんまげ姿で出没(?)、よし殿として評判になっているが、出展者の一人でもある(谷中3丁目で「谷中の小さなアトリエ&殿の隠れ家」)。本業はニューヨークでご活躍の役者さん。

 芸工展は、ギャラリーや料理店、公園などまちのあらゆるスポットで実施する表現活動をつなぎ、訪れる人がまち歩きしながらまちの文化を再発見し、交流が生まれることをねらったイベントだ。事務局の一人、村山節子さんをキャッチしたので、今年の芸工展について話を伺った。「27年間、この界隈で続けてくることができた芸工展。感謝しています。今年も穏やかな交流と多彩な表現が続いていくような芸工展を心がけている」そうだ。「この先も、『まちじゅうが展覧会場』というキーワードを形にしていく」という。

 交流が深まる中、何人か出展者の方にお話しを伺うことができた。

 不忍通り、千駄木2丁目の「おにぎりカフェ利さく」さんに、ご自身の作品が常設されているオダギリ展子さん。もともと、コーンスターチを主原料とした緩衝材とポリエステル製の折紙を使って、おにぎりやお弁当などのクラフト作品を作っていた。今年2月、そのおにぎりがご縁となって利さくさんを訪ねたことが、同店でのワークショップの開催と芸工展への参加に繋がったそうだ。芸工展では、同店の看板ネコを中心に作品を展示販売する。

 諏訪台通りから路地を入った西日暮里3丁目の「ライトアンドプレイス湿板写真館」は、坂本龍馬や徳川慶喜も撮影したという、150年前の明治維新の古典撮影方法でポートレートを撮影している。「芸工展ではこの撮影方法でモデルさんに明治時代の着物をきてもらい撮影します」と代表の和田さん。1日だけの出展だが、撮影方法を一般公開する。

 不忍通り沿い、千駄木2丁目の往来堂書店に「可愛くてユーモラスな妖怪展」を出している、のん坊さん。趣味で5~6年妖怪の絵を描いている。その作品展示を企画した。本業は国家公務員だ。

 谷根千まちばの健康プロジェクトは、「貸し原っぱ音地」へ、「まちけんブックス」というタイトルで、「本の処方箋ワークショップ」やメンバー手製の小冊子販売で出展。モバイル屋台で繰り出すとのこと。メンバーである元書店勤務の三觜徹さんは、「若い人はネットで本を探す人が多いが、手触りや重さを味わって本を選んでもらいたい」という。

 最後に、マップを作った事務局の大学院生、木村翠さんにインタビュー。工夫したことは、「出展者のみなさまにたくさん関わっていただきたいと思い、題字や表紙写真などは地域の方に提供していただきました!」とのこと。「表紙に選んだ天高く伸びる大樹の写真のイメージをより印象的に表現するために、マップの全体的なカラーは空色を基調としています」。さらに中身について、「マップを見て開催場所へたどり着けることを重視して、エリアごとに色分けしました」。また「みどころが盛り沢山な谷根千界隈ですが、他のマップと比較すると情報量は少なめにすることで、すっきりとした見た目をめざしました」と語る。「見やすい」「かわいい」などの声が多く、短時間での作成で手直ししたい部分もあったが、嬉しかったという。

 出展は全部で61。マップを見て、あちこちでかけてみてはいかがでしょう。(稲葉洋子)

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