JIBUNマガジン 文京区

2023年12月号 vol.101

陶磁器と山野草を展示販売、千石の住宅街の野趣あふれるギャラリー「千」/きまぐれギャラリー探訪

2023年12月16日 12:58 by inaba_yoko
2023年12月16日 12:58 by inaba_yoko

半年くらい前、地域のギャラリーの取材先を探していると、知人から、「千石にとてもすてきな陶器のギャラリーがある」と教えてもらった。東洋女子高等学校の先、豊島区との区界に近い住宅街にある。

ギャラリーの名前は「ギャラリー千(senn)」。店主は竹澤千恵さん。「千」という名前は、千石の千と千恵さんの千から取ったという。日本各地の陶芸家の作品と、庭で育てている山野草を展示販売する。

建物の手前にある庭は、様々な植物が植えられ、建物の裏にも庭があり山野草がいっぱい植えられているが、今は冬。「春や秋には、花や草でいっぱいなのですよ」。竹澤さんは、葉の落ちた木に、からすうりの実を飾るなどして冬らしい演出をしている。野趣あふれるすてきな空間だ。

奥の庭に面した工房の入口の手前には大量の薪が積まれている。「薪ストーブ用です。都会では薪は燃せないですよね。ストーブならなんとか」と笑う。工房の中には、大きな電気窯が設えてある。竹澤さんは、この工房で作品作りをしている。「でも仕入れや山野草の育成にめいっぱい時間を使っているので、自分の作品を手掛ける時間がなかなかなくて」。

ギャラリーには、竹澤さんが全国各地の窯元、作家を訪ねて集めた陶磁器が所狭しと並ぶ。奥には小あがりの部屋があり、この部屋もギャリーの一部だという。「コーヒーやお茶で、お客様にくつろいでいただく部屋になっています」。

竹澤さんはギャラリーに並べられた器を一つ一つ手に取って説明してくれた。「30年くらい前叔父が集めていた、備前、信楽、萩焼があり、そこに現代の各地の陶芸家の作品を置かせていただいています」。ギャラリーには陶器の厚さや硬さなど、お客様の好みに合うよう、バランスよく集めているという。

竹澤さんは、以前、銀座の食器屋さんに就職し、毎日京都から送られてくる陶器を検品する仕事をしているうち、どんどんのめりこんだ。「好きなんですね、やっぱり」と嬉しそう。

35年前に埼玉県春日部市に住み、そこで陶芸教室に通い、窯を買った。自宅の横にコンテナを置いて、中に窯や轆轤(ろくろ)を置いた。陶芸を友達と楽しんでいたそうだ。本当は全国を飛び回れるような50代くらいでギャラリーをやりたかったそうだが、諸事情がありオープンすることができず、千石に来たのが2年半前。今のギャラリーの場所には竹澤さんの夫の親族が住んでいたが、空き家になっていたところを建て直した。

オープンは2021年5月21日。「まさかこの年になってこんなことやるとは思わなかった」と笑う。「知らない土地に来ると、人とかかわりがあまりないですが、ギャラリーをやっているおかげで、いろいろな人が来てくれるので、よかったです」。

「この先は、もっと多く全国各地の陶芸家の作品を置かせていただき、展示即売させていただきたい」と竹澤さん。そして、「『千』の工房を活性化させ、自分の作品もたくさん作ろうかなあと思っています」。と目を輝かす。「楽しいものを作りたいです」。

2024年5月ごろ、3周年記念セールを予定しているという。竹澤さんの楽しい作品がたくさん並んでいるだろうか。(稲葉洋子)

「ギャラリー千(senn)」112-0011東京都文京区千石3-28-5

営業時間 am11:00~pm6:00

休業日 月・火 第2・第4日曜

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