JIBUNマガジン 文京区

2022年08月号 vol.85

クラフトビールめぐり②ビールで地産地消をめざす!?駒込の「日ノモトブルーイング&ビアスタンド」

2022年08月15日 14:48 by Takako-Oikawa
2022年08月15日 14:48 by Takako-Oikawa

 駒込にクラフトビール醸造所兼ビアスタンドがあると聞き、さっそく出かけた。六義園に近い住宅街のマンションの1階にあり、道路の向こうは豊島区駒込という区界の立地だ。まだ醸造は始めておらず、週末だけの営業だ(2022年8月現在)。「なにしろ、全部1人でやっているので」と代表の田村大介さん。確かに、入り口は脚立につけたライトが照らしており、手作り感が満載だ。

 ともかく、飲もう。この日は8種類のクラフトビールをそろえており、その中から選んで1杯ごとに代金を払うシステムだ。滋賀、奈良、愛媛と遠方の地名が並び、迷う。しかしまずは東京でしょう。「グッドデイスヘイジーIPA/レッツビアワークス×日ノモトブルーイング(東京・東十条)」というビールのハーフを頼んだ。

 フルーティーな香りがする。説明には「ココナッツやウッディーなフレーバーをテーマにしたIPA」とある。これが説明書きの「樹脂感のあるほどよい苦味」というのだろうか、苦みの感じも好みで、うーん、おいしい! レッツビアワークス東十条は田村さんが修業した縁がある醸造所で、このビールはまだ名前もついていないホップを使い、田村さんのイメージをレッツビアワークスが形にしたものらしい。

 日ノモトは神保町から2022年4月に移転してきたばかり。神保町では国産クラフトビールを出すバーだった。「ずっと自分でビールを造りたいと思っていて、様々なタイミングが合った今ならチャレンジできると思った」と田村さん。そもそも、ビールが好きで「一生飲み続けられるぐらい好き」だという。語り出すと5時間は必要というのでそれは改めて聞くとして、もともと十数年間会社員だったのを辞め、この業界に飛び込んだという。

 あらゆるビールを飲んできたが、あるクラフトビールのイベントで、地方の醸造所のビールに出合ったことが衝撃だったという。「酒の酵母やフルーツを使って、多彩なビールを作っていた。え、日本でもこんなにおいしいビールを造ってたんだ、と驚いた」。地域の特産物を使って独自のおいしいビールが造れるかもしれない。ビール造りなら、一次産業からかかわれるかもしれない。

 「現実はそんな甘くなくて」と苦笑いする田村さんは秋田出身。当初はUターンしてクラフトビールづくりをしようと構想したが、そう簡単ではないことがわかり、断念。「もう秋田より東京の方が住んでいるのが長いので、こっちでやろうと」。しかし今でも思いは変わらない。本当は全部日本のものでやりたい。東京で売れるようになって、地方に醸造所を造れば雇用も生まれ、地域の原材料を使えば農業も活性化される。海外に輸出できるかもしれない。「その千分の一もできてませんが」。でっかくて熱い想いがあるのは事実だ。

 ビールは何やってもアリというのがおもしろいところだ。ドイツのように原材料を厳格にしている国もあるが、ベルギーはなんでもアリ。フルーツもスパイスもOKだし、日本酒の酵母を使った日本酒のようなビールもある。ワイン樽や醤油樽で寝かせたものもある。

 店内では、国産クラフトビールの缶ビールやボトルビールも買える。コロナ禍で神保町でバーを開けなくなったとき、酒販の免許も取ったそうだ。これまた、各地の様々なクラフトビールがずらり。赤ワイン樽で黒ビールを2年近く寝かせてジャスミンを漬け込んだというクラフトビールがあるというので、さっそくボトルを購入して飲むことにした。

 これは、かなりの驚きと衝撃だ。赤ワインのような色と風味でありながらジャスミンのほか様々な香りがする。この苦さはまさにビール。しかしなぜジャスミンなのか。醸造元の鎌倉のヨロッコビールに聞いてみたくなった。

 現在醸造開始に向けて1人で設備から何から準備中で、ビアスタンドも「ワンオペなので」金曜夜と、土日13時~21時に限られる。それでも早くも近所の人を中心に常連さんもいる。「何かの合間に1杯2杯と飲む人が多いです」。食事帰りに一杯飲んで帰る夫婦や、ベビーカーで来る客もいるという。そもそも発酵酒であるビールは繊細で傷みやすいから、地産地消が一番だ。「ドイツでは(ビール工場の)煙突が見えるところで飲むのが美味しい、と言われているそうですよ」と田村さん。

 醸造を始めたら文京区内のクラフトビール醸造所としては、関口のカンパイ!ブルーイングに次ぐ2号目だ。「駒込ラガー」や「六義園ビール」といった名前のビールを造りたいという。品質が安定してきて、人手が確保できたら、缶ビールに詰める設備もあるため、缶ビール販売も手掛けたいという。日本の産業を応援したい、いずれは国産原料だけのビールを。地産という大きな夢を胸に、まずは地消からのスタートだ。

27、28日には野菜のおつまみデーというプチイベントを企画している。詳細はFacebookページInstagramで。(敬)

日ノモトブルーイング&ビアスタンド

〒113-0021 東京都文京区本駒込5-71-3グリーンピア本駒込1階

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