JIBUNマガジン 文京区

2017年04月号 vol.21

【まち・カフェ】天然酵母のパンと料理教室の二本立て/千駄木の路地の奥にあるパン屋さんMignon(ミニョン)

2017年04月03日 23:35 by inaba_yoko
2017年04月03日 23:35 by inaba_yoko

千駄木の動坂上から団子坂上へ抜ける道は「くらしのみち(通称保健所通り)」と呼ばれる。動坂方面からこの道を入って少し進むと右手に千駄木小学校がある。体育館のはずれの路地を右に曲がると文林中学校、千駄木幼稚園があり、その先に千駄木公園がある。
春休みの土曜日、公園はいつになく家族連れや小中学生で賑やか。公園の囲いに沿って回っていくと、少し先に左に入る私道があり、入口にパンの絵が描かれた小さな「mignon(ミニョン)」の看板が置かれている。


その私道の一番奥にある民家のパン屋さん、mignon(ミニョン)を訪問し、店主でもありパンを作っている鈴木三与さんにお会いした。"mignon”とはフランス語で「かわいい」という意味だ。
 

"open”の札が下がっているドアを開けて玄関に入ると、あがりかまちにガラスの扉のどっしりとした戸棚が置かれ、中にさまざまなパンが並ぶ。向かって右の部屋はパン焼き兼事務室と、お店番のための部屋。中にはパンを焼くドイツの家庭用オーブンが2台、作業台、机と椅子や棚など。その奥はパンをこねたりする部屋がある。


玄関から向かって左の部屋は、客間のような作りのカフェで、大小のテーブルや椅子が置かれ、窓の向こうには煉瓦塀で囲まれた庭が広がる。ここで、「パンに合う料理教室」や親交のある作家の「手作り品展示会」が開かれる。土曜日はお客様のくつろげるカフェにもなる。
どの部屋の内装も家具も、雰囲気がフランスの建物のようにゆったりどっしりと落ち着いた雰囲気。そういうお店にしたいと6年前に改築したものだ。
 

三与さんは最初、アパレルの販売員をしていたそうだ。その頃に1人でお店をやってみたいと思い、雑貨屋さんを経営しようと考える。しかし雑貨は商品をストックする場所が必要だ。では飲食物ならば……と、まず、本郷の地震研究所の近くにカフェを開く。「カフェめし」なるものもメニューにあり、パンを出していた。
2001年から4年間本郷でカフェを続け、その後お店を小石川4丁目に移す。このころ、パン作りをコルドン・ブルー東京(高度な料理技術とホスピタリティ教育を国際基準のプログラムで提供する教育機関)で学び、その後は独学した。ランチに天然酵母パンを出していたところ、お客様から売ってほしいと言われ、売ることに。オーブンは1台から2台になり、2012年、千駄木のご自宅を改築し移転、お店兼住居とした。


「パンに合う料理教室」は以前より手がけていたが、現在はパンの販売より料理教室に比重が多くかかっているという。講師は三与さん。生徒さんは5カ月のシリーズごとに30人ずつ募集している。地方から通ってくる生徒さんもいるそうだ。料理はシンプルなレシピのフレンチや各国料理で、三与さんのオリジナルメニューだ。お料理を実習で学ぶのではなく全過程を見られるデモンストレーション形式なので、赤ちゃん連れでも参加可能だ。
 

「展示会」は、テディベアの作家、外間(ほかま)宏政氏をはじめとする三与さんと親交のある方々の手作り品の展示や販売だ。外間氏の小石川での作品展でパンを売ったことをきっかけに、千駄木でも展示会を開催することになったという。
今後は、カフェやパン屋さん、雑貨屋、パン作り教室などをやりたい人に向けてのコンサルティングもやっていきたいそうだ。
 

三与さんは小さい頃から、3食すべて、おばあさまの手作りの洋食を食べて育った。洋食なので主食はもちろんパン。だからパンが大好きで、お米は食べなくても平気という。そのせいか、mignon(ミニョン)のパンは、どっしりしたパンで、ふわふわのパンやお菓子のパンはない。日常的な主食として食べるパンだ。日本の生活や風土になじむパンを焼きたい。そのパンに合う料理を作りたい。そんな思いが、三与さんの活動の根底にあるようだ。(稲葉洋子)

天然酵母パン屋・パンに合う料理の教室
mignon(ミニョン)
〒113-0022 東京都文京区千駄木5-41-15
TEL 03-3823-8083
営業時間 11:30AM~6:30PM(水・木・金)
     11:30AM~5:00PM(土)
定休日  日・月・火・祝日

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