JIBUNマガジン 文京区

2015年9月号 vol.2

【まち・シェア】江戸川橋地蔵通り地域の心と心を繋ぐ場に/「みちこはうす」で子ども紙すき体験

2015年09月02日 12:15 by Takako-Oikawa
2015年09月02日 12:15 by Takako-Oikawa

 

 江戸川橋駅近く、今も元気な地蔵通り商店街。路地に入ると、古びた家屋が立ち並ぶ。その一角に、「みちこはうす」はある。玄関先には「この小さな家は私たち家族を守り、長い人生の時を共に歩んでくれました。神田川の氾濫は恐ろしく、若き日の私は、この家を必死で守ったものでした・・・」と始まる文章が掲げられている。3カ月前ぐらいから、まちの人が出入りできるようになった。夏休みのひととき、プレオープンイベントとして、音羽の学習塾「わでか倶楽部」の子どもたちが訪れ、紙すき体験ワークショップが開かれた。

 

 近所に住む窪田邦江さん(76)の姉の「みちこさん」の家。高齢で1人暮らしが難しくなり、別の場所に移ったことから、家は2年ほど空いていた。取り壊す話も持ち上がったが、「掃除すれば使える」と、窪田さんの知人や、商店街に出入りしていた学生が奔走し、20人近くがかかわって部屋を片づけてくれた。水道や電気工事ができる大工さんも相談に乗ってくれて、家を補修してくれた。そうして6月ごろから、商店街の人が使い始め、少しずつまちにひらかれるようになってきた。

 

 シャバ、シャバ、と2回ぐらい窪田さんが木枠を動かすと、水に浸かった白いパルプ液がすくいとられた。窪田さんが会長を務めるNPO法人文京区消費者の会では長年、牛乳パックからパルプを取り出してパルプ液を作り、紙すきの体験会などを開いてきた。820日、「わでか倶楽部」の小中学生が、みちこはうすにやってきて、紙すきを体験した。パルプをすくい、トンボのシールや押し花などをはさんで水を切り、アイロンで乾かしたら、完成。近所の人や消費者の会の人がアイロンを「かけたことがない」という子に教えながら、はがきやしおりが次々にできていった。「この様子は子どもたちが記事に書く予定です」と塾長の高山陽介さん。

 

 窪田さんは、「姉は自分がいつでも帰れる場所のつもりでいる。地域の人にも利用してもらいたい」と話す。玄関先の文章は、こう締めくくられている。「〈みちこはうす〉として再生されたこの家が、江戸川橋地蔵通り地域の心と心を繋ぐ場として、優しさや思いやりの集う場として、みなさまにご活用いただけることを、心より感謝いたします」

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