JIBUNマガジン 文京区

2022年10月号 vol.87

OSAGARI絵本のよりみちにっき/心があったかくなるもの

2022年10月15日 13:42 by Takako-Oikawa
2022年10月15日 13:42 by Takako-Oikawa

目白台のあたりをゆっくり自転車で通り過ぎると、ふわ~んと、あのなんともいえない香りが。銀杏の季節です。

息子が小学校に上がる前、この近くの運動公園で日が暮れるまで遊んだことを思い出します。夕日が見えたらお友達と別れがたくなって、親たちが早く帰ろうよと促している間に日は暮れて……ああもう秋なんだねと、なんとも切なくなる時間です。

そして、お外帰りの冷えた体にうれしいのが、あたたかいお夕飯。当時息子が、あたたかいスープをいただくたびに胸に手を当て「ああ~、心があったかくて気持ちいい」と言っているのを聞いて、妙に感心したものです。そうか、たしかにそうだね。あたたかいスープは体だけでなく心もあたためてくれる。それが家族や大好きな人たちと一緒の時間なら、なおさらだね。

そんなわけで、今月はこちらの絵本をご紹介したいと思います。

『もっと もっと おおきな おなべ』

寮 美千子 作

どい かや 絵

フレーベル館

はじまりは、秋の森でかごいっぱいにきのこをつんだねずみさんが、きのこのシチューをこしらえたこと。しょっぱいから水を足してとやっているうちに、ねずみサイズのおなべは今にもあふれそう。

困ったねずみさんがりすさんのところにおなべを持っていくと、一回り大きいおなべに移し替えてくれます。と、そこまで良かったのだけれど……せっかくだからと、りすさんがおいしい栗とクルミを入れたら、なんと、またあふれそう!

その後もうさぎさん、やぎさんとおなべのリレーは続いていきます。最後にクマさんサイズのおなべいっぱいにシチューが出来上がったところで、森のみんなが大集合。おおきなおおきなおなべをみんなで囲んでふうふう食べるシチューの、なんておいしそうなこと。

これぞ、秋の最高のごちそう。あたたかいお鍋と大好きな人たちの笑顔があれば、それだけで幸せになれる。そんな季節です。

OSAGARI絵本・伊藤みずほ)

関連記事

OSAGARI絵本のよりみちにっき/生きるということ

2024年02月号 vol.103

OSAGARI絵本のよりみちにっき/あたたかいプレゼント

2023年12月号 vol.101

OSAGARI絵本のよりみちにっき/反抗期でもおしゃべりさん

2023年10月号 vol.99

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2024年04月号 vol.105

春がしばらく足踏みし、桜の開花が少し遅れたと思ったら一気に暖かくなり、ツツジも…

2024年03月号 vol.104

季節は行ったり来たり。今春の桜の開花は早いと思ったら、寒さがぶり返して先延ばし…

2024年02月号 vol.103

節分の豆まきは今年は4年ぶりというところが多かったようです。節分、立春といえど…