JIBUNマガジン 文京区

2023年01月号 vol.90

手づくりの行灯、銀杏を照らす/駒込天祖神社、黄金銀杏と有明行灯のイベント

2023年01月16日 23:02 by inaba_yoko
2023年01月16日 23:02 by inaba_yoko

「有明行灯」。江戸時代の暮らしの灯りで、深夜には外箱を被せ、満月と三日月型の窓から漏れる光を常夜灯として、室内に置いた行灯のことだ。現代では室内のみでなく、屋外に、情緒を醸し出す演出として置かれることも多い。昨年11月26日、駒込天祖神社の参道に、手作りの有明行灯がずらりと並んだ。参道に沿って銀杏並木があり、仄かな行灯の光が銀杏の黄色い葉を照らしていて綺麗だった。普段の夜は人通りの少ない静かな場所だが、この日ばかりは参道いっぱいに行灯が立ち並び、子どもたちの楽しげにはしゃぐ声が響き、活気づいていた。

 

「駒込天祖神社、黄金銀杏と有明行灯」というイベントで、企画し主催したのは天祖神社の土地と隣接したところに住む、松塚昇さん。まず、16時に近くの公共施設に集まり、段ボール製のキットで有明行灯を制作。地域の親子10人ほどが集まり、思い思いに行灯に満月や三日月の窓を作り、土台と組み合わせて完成させた。

その後、それぞれが作った行灯を手に、5分ほど離れた駒込天祖神社まで練り歩き、神社の社紋を中心にして、石畳にずらりと有明行灯を並べた。

スタッフ総勢で20名ほど。さらに参道の脇前方に障子紙のスクリーンを作り、「影絵あそび」をして楽しんだ。

 

行灯作りの講師を務めたのは、「伝統工芸を体験*チーム有明行灯」(暮らしいろは)メンバーの石山恒子さんだ。「暮らしいろは」は、「日本を楽しむ・遊ぶ・学ぶ」会だという。企画した松塚さんは千駄木の旧安田楠雄邸のボランティアで知り合った石山さんの活動を知り、自分の地域の神社でも「有明行灯」のイベントをやりたいと思ったという。

松塚さんは、「今は僕しか、こういうことをやる人、いないんだよね」と言う。最近の神社の氏子さんが高齢の方が多くなっていて、活動できる人がどんどん減っているのだ。そこで松塚さんは、「神明まちづくり倶楽部」という会を立ち上げ、2年前に初めて「駒込天祖神社、黄金銀杏と有明行灯」を開催した(参加者15名)。コロナのため1年空けて、今回は2回目だという。

石山さんは、「行灯というより、江戸の頃の月の暦と灯りのイベントに興味がありました」と笑う。「地域の宝に光を当てるため、有明行灯を持ちながらのまち歩きしてその魅力を伝えたかったんです」。

日本橋や浅草雷門の向かいの観光センターで行灯を作ってからまちを散策したり、プリンスホテルで子どもたちとワークショップの後、館内に飾ったりした。「愛宕神社さまの出世の石段(徳川家光の家来が梅の枝を取りに馬で上がった石段)に飾ったり、地域の魅力ある場所に有明行灯を灯して歩きました」。

「そういうふうに街歩きをしていく中で、松塚さんに興味を持っていただいて、駒込天祖神社さまはやっぱり、銀杏並木が綺麗だから、ぜひ、そこでやりましょうという話になった」という。1回目はそのまま置いたが、2回目は土台をつけて高くした方がよいと、建築が専門の松塚さんが土台を考案。

石山さんは、「影絵や行灯のような日本文化で、今体験できないようなことを天祖神社さまの取組みで伝えたい。この場所ならではの魅力、過去の魅力も掘り起こして重ねていきたい。駒込天祖神社さまはやはり青い葉の時も葉が黄色くなった時も銀杏並木が綺麗いだから、その季節ごとになにかやれたらいいな」と松塚さんと話しているという。

松塚さんは、「これからはもっと輪を広げながら続けて、さらに多くの方と共に賑わいを作りたい。駒込天祖神社さまも多くの方とご一緒してはとのお話もありましたし、来年の『黄金銀杏と有明行灯』のイベントに向け『地域を盛り上げたい方、ご興味のある方』を募り、地域の輪を広げたい」という。(稲葉洋子)

問合せ先 e-mail nomono25@yahoo.co.jp  03-3824-1071

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