JIBUNマガジン 文京区

2023年11月号 vol.100

アートと人と地域を対話で深め、つなげる「Bunkyo Brut~つながりのまじわり展~part2」

2023年11月17日 18:03 by Takako-Oikawa
2023年11月17日 18:03 by Takako-Oikawa

おや、郵便局のガラス窓にフェルメール? 開け放たれた扉の奥はカラフルなグルグルでいっぱい。文京区内の障害者施設で創作された作品を街中に展示する「Bunkyo Brut(ブンキョウブリュット) ~つながりのまじわり展~part2」が江戸川橋近辺のギャラリーなど6カ所で開かれた。各展示場をめぐって、「何を使って描かれていた?」「この版の素材は何でしょう?」といったクイズの答えを探し当てればプレゼントがもらえ、木版画体験ワークショップなども開かれた。

地域でアートに気軽に触れてもらいたいと活動している文京アートプロジェクトと、文京区の主催。8月に文京シビックセンターのギャラリーでも開催されたが、今回は街へ。「もっと地域のそばにあったらどうなるか。日常の延長線上にちょっと楽しいものがあるといいかな」と、文京アートプロジェクト代表の小松一世さんは言う。

小松さんは美術館で、作品を人や地域をつなぐ「アート・コミュニケータ」として活動した経験があり、障害者施設リアン文京でつくられた作品をアートウォール・シビックで展示する手伝いもしてきた。そんな中で、「私たちには真似できない何かがある」作品に多く出合ってきた。ただグルグル描くだけの絵でも、1枚だけでなく、さまざまな色でたくさんあって、それを並べてみると、アートになる。

小さな魚がたくさん描かれた絵があった。しかし上の方は空白になっている。「それは弱視の方の絵。手元の方だけ描くので大きな余白ができるのです」。

会場の1つ、コミュニティカフェスペースTweedia(音羽1-2-18-1F)でのクイズは「何が描かれているのかな?」。その絵は、赤、黄、紫とカラフルな色使いで、四角の中に楕円のようなものが2つ。「ハンバーガーかな。おいもかな?」。いろいろ考えるが、どうにもわからない。「ちょっと俯瞰して見ては」と言われ、「お弁当箱かな?」。「んー、ちょっと近づいてきたようですが」と小松さん。一つの絵を前に、ああでもない、こうでもないと考えているところを、ヒントを出したり、見方を変えてはと提案したり、対話しながら深めてくれるのがアート・コミュニケータだと実感。クイズがなければ、カラフルな絵だな、というだけで、すぐ通り過ぎていたところだった。

PLASE Suido-1(水道2-5-11)では、展示作品のオリジナルキャラクターがスタンプになっていて、ノートに押していけばいわゆるパラパラ漫画ができるというワークショップが開かれた。

浮世絵などを手がける江戸木版画の高橋工房・道のギャラリー(水道2-4-19)では、風神・雷神が展示されていたが、それが何でできているか? よく見ると、切手だった。ここでは今回のイベントのために彫りおこした版木を使って摺(す)り体験ができるワークショップも開かれた。

「6つの会場を巡れば、共感できる作品に出合えるかも」と小松さんは話していた。水道郵便局のフェルメールはしばらく展示されるという。それが何で描かれているか、よく見てみると興味深い。

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