JIBUNマガジン 文京区

2023年07月号 vol.96

気まぐれ探訪番外・四国編①/築100年以上の内子座で、千駄木の落語家も参加した内子落語まつりを見た

2023年07月16日 01:09 by inaba_yoko
2023年07月16日 01:09 by inaba_yoko

以前取材した千駄木在住のアマチュア落語家ぽんぽん亭遊月さん(過去記事参照)が、「内子座落語まつり」に出演するというので、はるばる四国・愛媛の内子町へ出かけた。新幹線で岡山へ、岡山からは特急で、まるで陸続きのようにあっという間に四国に入る。松山で乗り換え、内子へ。東京駅から984.9km、6時間51分の旅だ。

内子座落語まつりは4年ぶり2回目の開催となる。全国レベルの大会で優勝経験がある複数の四国のアマチュア落語家が、全国から実力派の落語家を選んで出演してもらう企画らしい。今回は東京、埼玉、大阪、広島などから6人が参加した。

内子町は江戸時代後期から和ろうそくの原料などになる木蝋(もくろう)や生糸などの生産で栄えた町。内子座は大正5(1916)年、芸術・芸能を愛してやまない人々の熱意によって建てられた芝居小屋だそうだ。農閑期には、歌舞伎や文楽、映画や落語などが演じられ、当時の人々の心の糧、文化的な拠り所として愛されたという。芸術・芸能を愛する人たちが労働の合間に楽しめるように作った小屋というだけで、感動的だ。

パンフレットには、「老朽化のため取り壊しになるところを、町民の熱意により復元。昭和60年10月、劇場として再出発」とある。町並みの保存運動とも連動した動きだったようで、町民の芸術芸能への愛が時代を超えて引き継がれていると感じる。平成27(2015)年には国の重要文化財に指定された。

木造2階建て、瓦葺き入母屋造りの内子座は堂々としており、回り舞台や花道、枡席などを整えている。天井は高く、2階席の天井近くに「〇〇商店」とあるのは出資者だろうか。

建物全体から、歴史的文化的価値の重みを感じることができた。きれいに整えられた庭もあった。

落語まつりでは、ぽんぽん亭遊月さんをはじめ、新作落語を披露する人もあり、大いに笑い楽しませてもらった。満席の会場は大盛り上がりだった。

内子座は耐震補強を含めた大規模な改修工事が予定されている。改修前にぜひ一度訪れてみたいという願いがかなった。内子町は静かな小さな田舎まちなのに、格調高い建物が今でも残っている。次はゆっくりまち歩きを楽しんでみたい。(稲葉洋子)

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