JIBUNマガジン 文京区

2024年03月号 vol.104

練馬でイチゴ狩り!ジェラートもお豆腐も/江戸時代から農地を守り続けるみやもとファーム

2024年03月15日 11:05 by Takako-Oikawa
2024年03月15日 11:05 by Takako-Oikawa

赤く輝くイチゴがハウスの中でたわわに実っている。文京区から行きやすい都営大江戸線の練馬春日町から徒歩10分ほど。みやもとファームは住宅街の中にぽっかり取り残されたような農地だ。ハウスでは5月までイチゴ狩りができ、紅ほっぺや章姫など6種類が栽培されている。「親子連れが多いので、小さなお子さんも採りやすいように、棚を上下2段にしてあるんです」と、広報担当の浅野真知子さんは言う。

みやもとファームを運営する宮本家は江戸時代から続く農家。かつて練馬といえば、青首大根よりも細めで長い練馬大根が特産で、宮本家もたくあんの加工などをしてきた。現在のオーナーは果樹に力を入れており、イチゴ、ブルーベリー、ブドウなど30種類以上を栽培。2001年からブルーベリーの摘み取り、2017年にイチゴの摘み取りを始めた。2023年春からは園内の果実を使った手作りジェラートも販売している。一番人気の「ミルクいちご」、「豆乳いちご」「ミルクブルーベリー」「金柑チョコラータ」「柚子ミルク」…、ケースをのぞくと魅力的なラインナップだ。風が冷たいし寒いし、と思ったが「みなさん、冬場でも食べて行かれますよ」と浅野さん。

練馬区のホームページによれば、練馬区の農地面積は23区内では最大で、23区内の農地の4割を占めるという。農地の保全や農業の振興に力を入れているようで、「“身近で”“カジュアルに”果樹とふれあい、果樹のある生活を楽しめる」ようにと、果実の摘み取り体験ができる農園や直売所を「果樹あるファーム」と名付けており、みやもとファームもその1つだ。隣接地には区民農園や、区立「農の学校」があり、農業について学んだ「農サポーター」を養成して農家とマッチングする取り組みもある。

みやもとファームでは1月~5月にイチゴ狩り、7月~8月にブルーベリー狩りをしているほか、春と秋に季節の野菜収穫体験や、冬にはみそ作り体験もしている。果実の受粉にミツバチに活躍してもらうよう、養蜂家に依頼して園内に養蜂箱を設置し、果実だけでなく大根などの野菜の花も含めた百花ミツのハチミツも販売している。ただ、最近ミツバチを食べるスズメバチが多くなってきたので、今は養蜂箱を「避難」させているそうだ。

過去、農業体験塾を開催して様々な農産物を作ってきたが、大豆をつくっていたときに、地域の豆腐店や麴店とつながりができたことなどがきっかけで、2016年に豆腐の手作り工房「とうふ房」を開いた。農業をやりながら豆腐作りを手がける若手職人が、北海道産の大豆を使って豆腐づくりに勤しんでいる。

豆腐や豆腐製品、ハチミツなどは毎週月曜日に開いている直売所で販売しているほか、園内で土日祝日営業している農家カフェで販売されており、その場で味わうことも可能だ。農家カフェは畑の中に立つ大きな木のそばにあり、江戸時代に建てられた建物を改築したものだという。

もともとの古い建物は柱や梁を残した中央部分の座敷で、その周りを囲むように廊下のような広間がある。ガラス張りなので、外の畑を眺めながらゆっくりできる。

摘み取ったイチゴやブルーベリーを味わうこともできる。もちろんコーヒーや「あったか豆乳」やジェラートも。

中央の座敷に続くところにステンレス製の台があってなんだろうと思ったら「湯葉づくり体験ができる湯葉槽です。今後、湯葉教室もやっていきたい」。近くにはとしまえん跡地にハリー・ポッタースタジオツアーの施設ができ、外国人客も見込めるかもしれない。都心の近場での農の楽しみは広がっていきそうだ。

イチゴ狩りは土曜日が完全予約制で、サイトから申し込むがキャンセル待ちが100人にもなる大人気だそうだ。日曜日は10時から先着順。食べ放題ではなく、摘み取ったイチゴを買い取る方式。詳細はサイトで確認を。(敬)

みやもとファーム(練馬区高松1-39-5)

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