JIBUNマガジン 文京区

2022年03月号 vol.80

「出会いを作るための手段」/ガラスアクセサリー「ビュルオンシエル」根津にオープン

2022年03月16日 23:22 by inaba_yoko
2022年03月16日 23:22 by inaba_yoko

ガラスアクセサリーのアトリエ”ビュルオンシエル”が、根津の弥生坂を数メートル上ったところ、弥生二丁目、カーサマジカル根津というビルの4階に、今年3月1日オープンした。代々木駅前から根津に移転、新たなスタートを切った。

本郷の事務所兼コミュニティスペース「HONGO22515」に竹形さんを訪ねたとき、たまたま事務所で、”ビュルオンシエル”の店主のよしさん(山田芳進<よしのぶ>さん)と出会った。アトリエでガラスアクセサリーのワークショップが受けられると聞いて、わくわくと、あっという間に訪問が決まった。

「いっぺんにワークショップを受けられるのは2~3人」ということなので、希望者が2組に分かれて、まず先発グループが、3月8日にアトリエに。

メンバーは竹形さんの他に、自然の花からアクセサリーを作り全国規模で活躍している塔野ももさん、創作デコパージュクリエーターで教室も開いている中村貴代美さん(創作デコパージュクリエーターkiyomiさん)で、美しいものは決して見逃さない方たちだ。この日は、塔野さんと中村さんがガラスのアクセサリー作りに挑戦した。

4階の部屋は、色とりどりの細いガラス棒と工具やバーナーが並んでいる壁、窓のある面には、よしさん制作の数々のガラスアクセサリー、その隣は帽子やカメラのレンズやパリの蚤の市で買った品々やガラスのアクセサリーが入った万華鏡などが置かれている棚、入口のすぐ右手は珈琲を淹れられる小さなキッチン。中央には作業ができる大きなテーブルが設えられていて、どこを見ても目を奪われ、アトリエそのものが宝石箱のようだ。

さっそく作業開始。よしさんがあらかじめ作っておいたガラスを流し込む枠から、参加者は好きなものを選ぶ。「枠を作ることから始めると大変なんで、どういうふうに作るか、一回僕がやってみましょう」と、よしさんが作るのをみんなで見学。枠は先の丸いペンチでステンレスのワイヤーを半分に曲げて撚っていく。ステンレスのワイヤーを使うのは、金属アレルギーの人も安心して身に着けられるようにという配慮から。枠には鎖通しも作る。一度焼いてから、楕円や三角、ハート形など形を整える。

次に材料のガラス棒の中から好きな色を選ぶ。「最初は単色でやってください」と、よしさんがアドバイス。透明なガラスならば重曹を使って気泡も入れられる。気泡はいくつでも入るがあまり多いとガラスが割れてしまう。

いよいよガラス棒をバーナーで溶かして、枠に流し込む作業だ。「僕がデモンストレーションをするので、一回見ていただいて‥」。右手にガラス棒、左手には枠を外科医が手術で使うような鉗子(かんし)という器具に挟んでバーナーに向かう。ガラスを溶かすのに2分ほど時間がかかるが、溶けたら、ガラスを枠に流し込んでいく。重曹を付けて気泡をつくり、ガラスを重ね、隙間にもガラスを足していく。バーナーにかざしてくるくる回しながらならしていく。よい形になるまでそれを繰り返す。あっという間に形になっていく。さすが、あざやか。

さて、参加者の番だ。よしさんがつきっきりでアドバイス、必要であれば手も貸してくれる。ガラスを流し込む作業は、なかなか大変そう。興味深かったのは選ぶ枠やガラスの色、一連の作業過程、それぞれ作り手の個性が表れる。出来上がった作品も、その個性が生きているようだ。中村さんのマスク用チャームは、紫色の繊細な輝きを放っていた。塔野さんのカードケースのチャームは深みのあるグリーンで厚みがあり、ダイナミックに光っていた。 

熱したガラスを冷ましている間に、珈琲をいただきながら、少しお話を伺う。よしさんご自身は、どのようにガラスと出会ったのだろうか。

「そもそも妻が作ったものを僕が売っていたのですが、僕も一緒に作るようになって、そのうち僕が一人でやるようになって」という。「ガラスの工芸が好きかというとそういうわけではなくて、ツールなんですよね。出会いを作るための手段として」。「これをやることで人が集まれたらいいなあと」。

「ぼくは大学時代から東京にいて、卒業してフランスに5年ほど留学していました」。帰ってきて就職、10年近く新聞記者をしていたが「10年くらいやって、もういいかな」と思った。その後ガラスの仕事を始め、今はその仕事を楽しんでいる。去年からは福岡にもアトリエを作って行き来しているそうだ。仕事では北海道やあちこちにも行っているという。

「今回たまたま根津に移転することになって、当面はこっちでみなさんと何かできたらいいな」と話す。この先、福岡の他にもアトリエを作る予定は。

「その予定はないですね、あ、でも、北海道なら作ってもよいかも」と笑う。それを聞いていて、何年かのうちに、あちこちに「ビュルオンシエル」のアトリエができて、よしさんが飛び回っていそうな予感がした。

珈琲を飲み終えて、熱かったガラスも冷えたので、塔野さんと中村さんは作品に鎖を通し思い思いに撮影していた。

さて「ビュルオンシエル」では、3月26日~28日、「春休みワークショップ ガラスを溶かしてチャームを作ろう」という企画が。小学生は、親子で3000円、中学生以上はお一人でも。子ども1500円、大人2000円と割安な価格だ。ぜひ、参加してみてはいかがでしょう。(稲葉洋子)

ビュルオンシエル  文京区弥生2-12-3カーサマジカル根津4階(bulles.en.ciel@gmail.com) 080-3752-5228(よし)

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