JIBUNマガジン

2021年07月号 vol.72

「働く」を通して地域のつながりを深めたい/文京せいかリレーを始めた田端三央さん

2021年07月17日 08:15 by Takako-Oikawa

聖火じゃない「青果」「製菓」「生花」でリレーしちゃおう!――本家の聖火リレーは受難続きだが、文京区民有志で5月1日から始まった「文京せいかリレー」は好調だ。読みが「せいか」の「青果」「製菓」「生花」のお店をSNSの投稿リレーで応援し、「盛夏」の7月23日までに50店舗紹介しようという企画。1日からは自由投稿を受け付けており、すでに50店舗を超え、ラストスパートに向け盛り上がっている。

事務局長の田端三央さんは区内在住で2児の母でもある。メンバーは幼稚園や小学校の「ママ友」たちだ。一押しの「せいか」店を取材し、フェイスブックインスタグラムツイッターなどのSNSで発信。活動をする中で、「みんな、まちを見る目が変わった」という。その店がその商品をどういう理由でどんな思いで販売しているのか。取材者の視点で話を聞き、これを伝えたい、と発信する中で、「いいところはどこだろう」と探しながらまちを見るようになった。さらに、お手伝いモードだったママ友たちが、自ら写真加工をやったり、取材の段取りをつけてきたり。「最初はワンマン列車だったのが、みんながモーターをつけて自走しだし、新幹線になった」

もともと田端さんは、仕事を通して地域のつながりを作りたいと考えていた。「仕事を一緒にしていれば、性格も見えてくるし、この人なら子どもを預けてもいいかなと思える関係も作れるのでは」。背景にあるのは、自らの大変だった子育ての経験だ。熊本出身なので親は頼れない。夫は忙しく、いわゆるワンオペ育児をせざるを得なかった。

フェイスブックで動画配信をする田端さん(右)

上の子が小学1年生の秋、学校から何度も呼び出された。同時期に咳喘息も発症。晩秋の寒い時期に給湯器が壊れ、上の子と保育園児の下の子を自転車に乗せて銭湯に通った。「一週間でヘロヘロになりました」。フルタイム勤務でただでさえ綱渡りだった生活がガタガタとうまくいかなくなり、精神的にも肉体的にもつらかった。そんなとき、あるママ友が「うちにお風呂に入りに来たら」と言ってくれた。お風呂を借りたら、夕食も用意してあり、一緒に食べた。ママ友のやさしさが心に染み入るほどありがたかった。

がんばるのも限界となり、体調を崩したこともあって、結局フルタイムの仕事を辞めた。週3の非常勤の仕事に変え、ようやく生活が落ち着いたころ、本郷で母親が3人の子と無理心中する事件が起きた。「他人事とは思えなかった」。数カ月前の苦しかった自分のままだったら、同じように思い詰めていたかもしれない。「お風呂に入りに来たら?」「子どもを預かってくれない?」。あのときのように、声を掛け合える地域の仲間がいたら。

そんな関係が作れるキーワードは「仕事」だと思った。イベントや講座で一緒になって顔見知りになっても、子どもを預けあうような仲にまではなれない。何があれば日常的に付き合える関係を築けるか考えた末、いきついたのが「仕事」だった。共に働く仲間として接していれば、信頼感や関係性が深められるのではないか。「みんなのおうち」みたいなところで、自らのスキルアップも計れる場になれば。

せいかリレーはボランティアだが、地域や仲間のつながりを作れることが確認でき、大きな成果が得られた。仕事の依頼もいくつか入ってきて、広報や会計、事務作業を請け負うバックオフィス的なチームが動き出しつつある。 「フルタイムではなくともチームで助け合い、補い合い、高めながら仕事をするしくみをつくりたい」と田端さん。自身は「企画」を仕事にしていきたいと考えており、「そこで発生した事務仕事や、出会ったまちの仕事をチームでシェアして雇用創出していけたら」。ママ友たちの「新幹線」は加速中だ。共に働く仲間や仕事場にできるスペースも探しているという。問い合わせはメール( kikaku.tabatamio@gmail.com )で。(敬)

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