JIBUNマガジン

2019年12月号 vol.53

Wの育児日記①「こどもがほしい」。妻の涙がスタートライン

2019年12月15日 17:55 by Takako-Oikawa

 はじめまして。僕は男児を育てる父です。こちらのサイトで育児日記を書いてみないかとお話をいただきました。少しだけ考えました。僕の育児にまつわる話なんて読んでみたい人がいるのだろうかと。数年間の子育てをしている最中には色々な出来事がありました。

 もちろん、まだまだ現在進行形のことばかりです。少しでも育児の最中の保護者の方、これからこどもをと考えている方々、何かの気づきや考えるきっかけになってくれたらいいかなあなどと思ったりしています。どうぞよろしくお願いいたします。

 簡単に自己紹介をすると、僕は40代、どこにでもいる会社員です。趣味は読書、休日はスポーツをするのが好きで、こどもが生まれるまでは週3日はランニングをしていました。趣味で始めたのにいつのまにか、はまりました。タイムも追及するようなシリアスランナーになりつつありました。

 妻との出会いは友人の紹介でした。妻は海外生活が長いものの、日本人のマインドと海外で身につけた感覚のバランスがとても心地よく、居心地がいい女性です。(褒めすぎでしょうか)日々の暮らしの中で、お互いの時間を共有しながらも個人の時間も持つ、僕にとってみればとても過ごしやすい時間が流れていました。共通の友人もいて、日々の時間も自然に流れていました。

 「こどもがほしい」

 妻は自分の誕生日には毎年手紙の中で言っていました。その文章だけが妙に僕にはプレッシャーになっていたことをよく覚えています。

 僕はこどもがとても苦手でした。親戚のこどもも長時間はあまり一緒にいても何をしていいのかわからず、初めて会うこどもは、どちらかというと避けていた時もありました。僕がこどもを育てることに気乗りをしないことも妻は承知していました。

 こんなことがありました。夫婦は犬が好きでした。特に柴犬を飼いたいなあという話は前々から出ていました。ブリーダーさんのところに連絡をして実際に見学をしてきました。僕は産まれたばかりの柴犬の赤ちゃんを見て触り、その日のうちに連れて帰りたい気分でいました。

 その日は妻と2人で帰りました。「柴犬の赤ちゃん、かわいいよね」と僕が興奮気味に話していると「うん」と浮かない顔で車の助手席に乗っていました。僕の中で「犬を飼ってしまえば、赤ちゃんの話は避けて通れる」という逃げがあったのかもしれない、そこを妻はわかっていたのでしょう。

 そんなある日のことでした。雨がしとしとと降る日の夕方でした。洗濯物も乾かない、なんだか気分までどんよりしてしまう日だったことを覚えています。妻が寝室でひとり悩んだ表情をしていました。

 「こども、私はほしいのにかなえてもらえないんだね。私はあなたの夢をかなえることの応援をしてきた。」こう言いながら涙をぼろぼろと流していました。

 僕はランニングに加えて、35歳を過ぎてから働きながら大学院で研究活動に没頭し、論文を書く生活を続けていました。この間には海外での研究にも2度行くなど、自分の生活はとても充実したものでした。しかしながら妻の気持ちに向き合うことをしていなかったのだと思います。涙を流す妻を見た時に、これでは家族が家族でなくなるという気持ちがどこからともなく湧いてきた、こどもを授かるとはどういうことなのかを真剣に考えるスタートラインに初めて立ったのです。

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