JIBUNマガジン 文京区

2018年07月号 vol.36

地域の人が共有するリビング。高島平団地の「地域リビングプラスワン」が5周年

2018年07月04日 20:23 by Takako-Oikawa
2018年07月04日 20:23 by Takako-Oikawa

 「♪上をむ~いて、歩こうよ……」。熟年ユニット「ジャストフレンズ」のギターに合わせ、歌声が響く。赤ちゃんからお年寄りまで、外国の方もいれば、認知症の方もいる。世代や国籍を超えてまちの人たちが集い、高島平団地の集会所でこのほど、「地域リビングプラスワン」の5周年パーティーが開かれた。

 地域リビングプラスワンは、その名の通り、地域の人が共有するみんなのリビング。地域のボランティアが当番で料理をつくり、みんなで食べる正午からの「おうちごはん」を月20日、夜18時から子どもたちが1人でも食べにこられる「おかえりごはん」を週2回、開いている。音楽会やママカフェ、英会話やフリマなども地域の人がやっている。

 運営するNPO法人ドリームタウン代表の井上温子さんは「2013年にオープンしましたが、団体はもっと前に設立していました」と振り返る。学生時代に高島平団地の活性化プロジェクトに携わり、社会起業の勉強会などを経て、みんなでご飯を食べるコモンミールを集会所で始めたのが2012年。物件を探し続けて、団地1階の40平方メートルの空き室に出合ったという。レイアウトは集会所の座布団を並べて検討し、できるだけ安くしようと、自分たちでペンキ塗りもした。 ネーミングのアイデアは理事の酒井広美さん。生活にもう1つ楽しさや豊かさが加わる場所になってほしいという願いを込めて「地域リビング」に「プラスワン」。

 地域の人のボランティア第1号は75歳の男性だった。ご飯が作れるのかと心配するまでもなく、とても料理が上手で、ボランティアの中心になってくれた。看板おじいちゃんとして活躍したが、昨年亡くなったという。「料理をしたことがなかったので弟子入りした」と、若いころから高島平団地に住んでいるが仕事一筋で地域のつながりがなかったという女性。エレベーターホールでボランティア募集のチラシを見て参加するようになったという。「知り合いができて、初めて高島平の住民になった気がします」

 立ち上げ前からかかわり、ペンキ塗りをしていたときおなかにいた子がもう5歳になったという理事の中川有希子さんは「娘は地域の人に育ててもらいました。今は2歳の息子をかわいがってもらってます」と言う。

 ジャストフレンズも、「ギターの練習させて欲しい」と1年目にやってきて以来のおつきあいだ。

 2015年に、放課後の子どもたちのために何かできないかと居場所とご飯の提供を始めたのが「おかえりごはん」。「おうちごはん」は、高齢者の介護予防の一環として口腔ケアもやっている。

 井上さんは、「みんなのおうち空間として、誰もが来られる空間でい続けること、誰かの何かしたい、がかなえられる、小さな夢を大事にできることを今後も掲げていきたい」と話していた。

(敬)

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