JIBUNマガジン

2018年03月号 vol.32

【ひと】かばんと抱っこひもと布団が一体化??シングルマザーが開発したgyuttone!(ぎゅっとね!)

2018年03月11日 21:15 by Takako-Oikawa

 子どもが歩けるようになっても、外出先では抱っこをせがまれることは多い。でも抱っこひもはかさばるし、持ち歩くのが面倒――そんな悩みを抱える子育て中の方のお助け育児グッズ、抱っこひもにも簡易布団にもオムツ替えシートにもなるという多機能のカバンが登場した。開発したのは自らも子育て中でさいたま市在住大門みづきさん。夫を亡くすという悲しい経験を乗り越えて、起業した。

 大門さんは美術系の大学を卒業後、一般企業の営業職を10年以上したのちに出産。ところが、育休中だった2014年、夫が事故で突然亡くなってしまった。息子は生後10カ月だった。人と接することができずに退職し、1年ぐらいぼうぜんとしていたという。1周忌のとき、ちょっと目を離していたら、息子が噴水に落ちてしまった。「この子、走れたんだ・・・」。そのとき初めて気づいた。この1年で息子はこんなに成長していたんだ。ふさぎこんでいては息子の成長の妨げになるのではないか。そう思い、子連れで外出するようになったという。

 息子は歩けるし、走れるけれど、疲れたらすぐ抱っこを求める。しかし抱っこひもは、使わないときは邪魔なだけ。外出の際、抱っこひもを持って行くかどうかがいつも悩みのタネだった。そんなある日、上野動物園に2人で出かけた。油断して抱っこひもを持って行かなかったら、遊び疲れて寝てしまい、帰り道はずっと抱っこをしなければならなかった。電車でも、駅でも。腕がしびれた。パパが子どもを抱っこして、ママはおしゃれをしている家族連れの姿が目に入った。泣きそうになった。いや、道端では泣きたくない。

 「シングルマザーはなんでも1人でやらなければならない。つらい思いをしている人は他にもいるはず。どこかでがんばっているママにエールを送りたい。今までのグッズはパパママがいる前提で作られているのではないか」。そうだ。育児をラクにするグッズを作ろう! 心に決めた。

 もともとコスパが高いものが好きだ。一石三鳥以上の機能がないと。「どういう抱っこひもなら持ち歩きたいと思うだろう」。エコバックを見て、ひらめいた。バックを開けたら抱っこひもになるってどうだろう? バッグの本を買いあさり、研究した。もともと美術の素養があり、子ども用Tシャツのデザインなどを細々やっていたので、自らデザインし、息子で試して、試作を続けた。丈夫な布について専門家に聞きたいと思い、創業支援の相談窓口を訪れたら、ベンチャー支援の施設を紹介され、定期的に通うようになった。そうして2017年春に、商品化にたどりついた。夏にクラウドファンディングをやって、製作の資金を集めた。目標50万円の倍以上集まった。2017年9月から本格的に売り出し始め、このほど特許も取得した。

 「商品開発のプロセスと、私自身の心身の快復のプロセスがリンクしていた。普通に働ける精神状態ではなかったので、1人で完結できる仕事を手がけられてよかった」と大門さん。「息子が大きくなって、進路などに迷ったとき、夫ならきっと、好きなことを貫きなさいと言うと思う。私が代わりにそう言うためにも、私自身が好きなことを貫いていないと」

 gyuttone!(ぎゅっとね!)は耐荷重15キロ、容量10リットルのやや大きめのかばんとして使え、開くと1枚布のようになるため、おむつ替えシートや簡易布団としても使える。腰用ベルトや肩にかけるひもも収納されているので、ひもを出せば抱っこひもに。首や腰がすわる1歳前後から体重30キロまで(4~5歳)の子どもを抱っこできる。小さくたたむこともできる。使い方などは大門さんが立ち上げた会社「kanadel」のサイトで見られる。価格は税込みで2万1384円。詳細はサイトで。

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